代理生産について考える

農業生産は工業生産と根本的に違うと思う。元来、農業生産は家族の生活、くらしのためにあった。米も野菜も家族が食べるのに十分なだけ作ればよいのであって、それ以上にできれば誰かにおすそ分けをしてそのお代をいただければそれでくらしに必要なものや農業生産に使うものを買ったのである。それでも、お金がもっと欲しければ、どこかに稼ぎに行く。専業農家と第1種兼業農家(農業収入が主で、その他からの収入が従になる農家のこと)を行き来するのが昔の日本の農家の普通の姿であった。つまり農業生産は生活、くらし、生きるためのものだった。

一方、工業生産は元々家族の日々のくらしに使うものを作るためではなく、売るために作るのである。

今、農業も工業と同じように売るための生産であろうとする思想が国の政策となり、農業者個人の考え方と農業のあり方に大きく作用してきている。私は農業者の1人として、その流れに大きな危惧を抱き、もっと違った農業のあり方があるはずだと思って、そのあり方を探求しているところである。

結論的に言うと、農業生産と消費の関係は代理生産の委託契約煮すべきだと思うのである。そこには生産者と消費者が直接的に信頼しあえる関係を作り上げなくてはならない。そんな関係が社会的なシステムとして構築できないかと考えている。

考えているだけで止まっているわけではない。六甲アイランドですでに具体的なアクションを起こしている。

そのことはいずれ目に見えてくるであろうから、その時に説明しようと思う。

文・増田 大成

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